洛陽天満宮二十五社順拝
菅原道真と「天満宮」
「菅原道真(すがわらのみちざね)(845-903)」は、平安前期に活躍した政治家で、学者であり文人でもあった人物。
845年(承和12年)に代々学者の家柄であった菅原是善(これよし)の三男として生まれる。母は伴(とも)氏で幼名は「阿呼(あこ)」。
幼少より文才に優れわずか5歳で和歌、11歳で漢詩を読むなど神童と称された。
向学心も旺盛で862年(貞観4年)18歳で文章生(もんじょうしょう)となり、その後877年(元慶元年)には33歳の若さで学者としての最高位であった文章博士に任命される。
886年(仁和2年)には讃岐守(さぬきのかみ)に任命されると善政を行うが、その赴任中に宇多天皇と藤原基経との間に確執を生んだいわゆる阿衡事件(あこうじけん)が発生すると、道真は基経に書状を送ってその解決に尽力する。
890年(寛平2年)に国司の任期を終えて京に戻ると、藤原氏の専権を抑えて天皇中心の政治を実現しようとする宇多天皇の厚い信任を受け、政治の中心で活躍をはじめる。
藤原基経の没後蔵人頭(くろうどのとう)に抜擢されると、894年(寛平6年)には唐の衰退を理由に遣唐使を廃止し後の国風文化の開花に大きな影響を与えた。
897年宇多天皇が譲位した後も醍醐天皇により重用され、899年(昌泰2年)にはついに右大臣にまで昇進するが、901年(昌泰4年)の「昌泰の変」により左大臣・藤原時平をはじめとする敵対勢力の陰謀で福岡県の大宰府に左遷。
屋敷を去るときに詠んだ「東風吹かば 匂ひおこせよ 梅の花 あるじなしとて 春な忘れそ」の歌はよく知られている。
そしてそのまま京に戻ることはなく903年(延喜3年)2月25日に左遷の地で59歳で没するが、その没後京では藤原時平や醍醐天皇の皇子とその子が病死、更には落雷事件などの異変が相次ぐ。
道真の祟りを恐れた朝廷は罪を赦すとともに正一位左大臣、太政大臣を追贈。さらに947年(天暦元年)に京都の北野に道真を祭神とする北野天満宮を建立。
以後道真を天神様として信仰する「天神信仰」が全国に広まるとともに各地に道真を祭神とする天満宮が数多く創建されることとなった。
平安末期以降は怨霊として恐れられることは少くなり、道真が生前優れた学者・歌人であったことから「学問の神」として厚く信仰され今日に至る。
「洛陽天満宮二十五社順拝」とは
「洛陽天満宮二十五社順拝(らくようてんまんぐうにじゅうごしゃじゅんぱい)」とは、京都に所在する天満宮の中から、特に菅原道真にゆかりの深い25社を順拝する風習。
時代によって含まれる神社が異なるが、主に菅原道真没後950年にあたる1852年(嘉永5年)に選ばれた25社。
二十五社、十二社、御霊地三社が記されており、御霊地三社は第1番の菅大臣天満宮、第9番の北野天満宮、第10番の水火天満宮。
類似の巡礼に菅公聖蹟二十五拝(全国の25社)や江戸二十五天神(江戸の25社)などがある
参拝のしかた
特に順番はなく自由に参拝可能
二十五社一覧
寺社名 | エリア | ポイント | |||
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1 | 菅大臣神社 | 三条寺町・四条河原町 | 十二社1 御霊地三社 |
御出現 |
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2 | 北菅大臣神社 | 三条寺町・四条河原町 | ||
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3 | 筑紫天満宮 | 京都駅 | 十二社2 | 五條天神社の境内末社 |
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4 | 一夜天神堂 | 二条城 | 壬生寺境内 | |
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5 | 神泉苑天満宮 | 二条城 | 現存せず | |
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6 | 火除天満宮 | 三条寺町・四条河原町 | 四条河原町 | |
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7 | 菅原院天満宮神社 (烏丸の天神さん) |
京都御所 | 十二社8 | 御所西 |
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8 | 安楽寺天満宮 | 北野・西陣 | 十二社11 | 北野天満宮界隈 京都における最初の天満宮と言われている |
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9 | 北野天満宮 | 北野・西陣 | 十二社12 御霊地三社 |
御旧跡、日本三大天神 |
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10 | 水火天満宮 | 北野・西陣 | 十二社10 御霊地三社 |
御在世 |
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11 | 御霊天満宮 | 京都御所 | 上御霊神社 | |
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12 | 梶井天神 | 京都御所 | 十二社9 | 現存せず |
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13 | 菅家天神 | 京都御所 | 十二社7 | 下御霊神社内 |
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14 | 雪天神 | 祇園・東山 | 三条大橋東入 | |
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15 | 梅宿菴 | 祇園・東山 | 十二社6 | 知恩院北門ノ内 |
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16 | 天拝天神 | 祇園・東山 | 建仁寺町夷ノ内 | |
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17 | 梅丸天神 | 祇園・東山 | 安井御門ノ内 | |
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18 | 綱敷天神 | 祇園・東山 | 高台寺内 | |
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19 | 若宮天神 | 祇園・東山 | 若宮八幡宮内 | |
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20 | 紅梅天神 | 京都駅 | 十二社3 | 萬年寺内 |
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21 | 文子天満宮 | 京都駅 | 下京間ノ町通花屋町下ル | |
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22 | 西念寺天神 | 京都駅 | 西念寺内 | |
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23 | 法然寺天神 | 三条寺町・四条河原町 | 寺町仏光寺上ル | |
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24 | 大雲院 | 祇園・東山 | 十二社4 | 寺町四条下ル 高台寺と八坂神社の間 |
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25 | 錦天満宮 | 三条寺町・四条河原町 | 十二社5 |
その他の京都の天満宮
寺社名 | エリア | ポイント | |||
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飛梅天満宮 | 東山七条 | 新日吉神社末社 | ||
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安井天満宮 | 祇園・東山 | 安井金刀比羅宮末社 | ||
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朝日天満宮 | 祇園・東山 | 粟田神社末社 | ||
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万願寺天満宮 | 岡崎・吉田・鹿ケ谷 | 岡崎(万願寺内神社) | ||
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下御陵天満宮 | 京都御所 | 下御霊神社内末社 | ||
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六角堂天満宮 | 三条寺町・四条河原町 | 頂法寺内神社 | ||
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匂天神 | 三条寺町・四条河原町 | 烏丸高辻東 | ||
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玉津島天満宮 | 三条寺町・四条河原町 | 烏丸松原西(新玉津嶋神社末社) | ||
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天道天満宮 | 二条城 | 四条大宮(天道神社末社) | ||
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吉祥院天満宮 | 鳥羽・竹田・淀 | 吉祥院 | ||
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綱敷行衛天満宮 | 京都駅 | 七条御前上る | ||
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文子天満宮元社 | 北野・西陣 | 北野天満宮界隈 | ||
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清和院天満宮 | 北野・西陣 | 北野天満宮界隈(清和院内神社) | ||
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北野天満宮内 文子天満宮 | 北野・西陣 | 北野天満宮内摂社 | ||
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霊光院天満宮 (霊光殿天満宮) |
北野・西陣 | 上京区 | ||
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北白川天満宮 | 岡崎・吉田・鹿ケ谷 | |||
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長岡天満宮 | 西山・乙訓 | 長岡京市 | ||
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和束天満宮 | 和束 | |||
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栗栖天満宮 | 笠置 | |||
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生身天満宮 | 南丹 | 南丹市園部町 | ||
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矢田天満宮 | 亀岡 | 亀岡 | ||
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土師天満宮 | 福知山 | 福知山 | ||
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桜山天満宮 | 宮津・伊根 | 宮津・伊根 | ||
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加悦天満宮 (天満神社) |
与謝野 |