藤(フジ)(Wisteria)
藤とは?
藤棚や他の植物に蔓を絡めて成長、藤色の名前の由来にも
DATA
学名は「Wisteria Floribunda」、英名は「Japanese Wisteria」。
マメ科フジ属のつる性落葉木本。
4月中~5月初旬に咲く、花は薄い紫色で藤色の名前の由来。
フジ属は日本にはフジ=ノダフジ系とヤマフジ系の2種あり、ほかに中国にシナフジの1種、アメリカにもアメリカフジなど数種ある。
このうち日本固有種のものは本州から九州の温帯から暖帯に分布、万葉集にも詠まれるなど古くから親しまれる植物。
蔓性で他の木や植物に絡まって成長、栽培する場合は藤棚を用いることが多い、花序は長く枝垂れて20~80cmに達し中には2mぐらいの長さの蔓になることも。
名前の由来
名前は中国のシナフジの「紫藤」からで、藤は「蔓(つる)」の意味があり蔓状に成長する性質に由来。
またノダフジ(野田藤)は明治時代に植物学者・牧野富太郎が大阪市福島区野田の「藤之宮」の別名を持つ春日神社付近の藤を研究し命名したもの、ヤマフジ(山藤)との違いは蔓の巻き方で、ノダフジは右巻き、ヤマフジは左巻きという大きな違いがある。
学名・英名の「Wisteria」は19世紀のアメリカ・フィラデルフィアの解剖学者Wistarの名にちなむ。
歴史
観賞用として古くから親しまれており、万葉集にも26首詠まれているほか、「源氏物語」や「枕草子」、「平家物語」などにもその名前が見られる。
利用・用途
観賞用
蔓性のため栽培する場合は藤棚を用いる場合が多い。
また園芸用の中には「一才藤(いっさいふじ)」という樹高50cmほどの鉢植えや盆栽として育てられるものもある。
その他
花は食用で天ぷらやおひたしなどにして食べられている。
一方蔓(つる)の方は丈夫なことでよく知られており、藤縄として物を運ぶのに用いられたり、籠や椅子などの細工物として加工される
その他
平安時代にかけて隆盛を誇った藤原氏の代表的な家紋は下がり藤、また氏神である奈良の春日大社の神紋も同じく下がり藤である。
京都の藤スポット
寺社名 | エリア | ポイント | |
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渉成園 (枳殻邸) |
京都駅 | 東本願寺の東にある飛び地境内の庭園で国の特別名勝 印月池の北東の畔に藤棚「紫藤岸(しとうがん)」 |
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平安神宮 | 岡崎・吉田・鹿ケ谷 | 神苑内の泰平閣の手前に藤棚 | |
真如堂 (真正極楽寺) |
岡崎・吉田・鹿ケ谷 | 4月中~5月初旬、本堂南側の露仏前に藤棚があり、4種類が順々に咲いていく | |
松尾大社 | 松尾・桂・西京極 | ||
龍安寺 | 衣笠・御室・花園・太秦 | 鏡容池の水際に2か所のヤマフジ、池の西側に藤棚 | |
妙心寺 退蔵院 | 衣笠・御室・花園・太秦 | 中根金作設計の昭和の名園「余香苑」のひょうたん池の前に藤棚 | |
等持院 | 衣笠・御室・花園・太秦 | ||
錦水亭 | 西山・乙訓 | 長岡天満宮に隣接する竹の子料理で有名な老舗料亭にある藤棚 長岡天満宮ではちょうど霧島つつじが見頃のため同時期に楽しめる |
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大原野神社 | 西山・乙訓 | ||
城南宮 | 鳥羽・竹田・淀 | 室町の庭に樹齢約150年の古木がありツツジとの競演を楽しめる | |
上下水道局 鳥羽水環境保全センター (鳥羽の藤) |
鳥羽・竹田・淀 | 「鳥羽の藤」として親しまれている 全長120mに及ぶ藤棚と下水処理を利用したせせらぎ広場を4月下旬に公開、各種イベントも開催される |
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勧修寺 | 山科・醍醐 | 氷室池に藤棚があるほか、白藤、杜若も楽しめる | |
平等院 | 宇治 | 観音堂の南側に藤棚 樹齢250年以上、花房は約1mあるノダフジ |
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詩仙堂 | 一乗寺・修学院 | 庭園の下方にある藤棚に白い藤 | |
国道367号(鯖街道)の八瀬周辺 | 大原・八瀬・比叡山 | 街道沿いの山々にヤマフジが自生 | |
ガーデンミュージアム比叡 | 大原・八瀬・比叡山 | 「藤の丘」で藤を眺めながらモネやルノワールの絵画を楽しめる | |
才ノ神の藤 | 福知山 | 福知山市大江町、京都府の天然記念物で樹齢2000年のケヤキの巨木を自然の藤棚に、絡まった蔓が四方に伸びている 5月上旬に「才ノ神の藤祭り」を開催 |
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藤波神社 | 綾部 |