山吹(ヤマブキ)(Japanese Kerria)
山吹とは?
晩春に小判にも似た明るい黄金色の花を咲かせる
DATA
学名は「Kerria japonica」、英名は「Japanese Kerria」。
バラ科ヤマブキ属の落葉低木。
晩春の4月初~5月にかけて3~5cmほどの黄色(山吹色)の花をつける(オレンジ色と黄色の中間ぐらいの色、山吹色の元となった花)。
日本および中国原産、日本では北海道から九州の低山や丘陵地に分布。
高さは1~2m。
名前の由来
「山」に生え、花の色が「蕗(ふき)」に似ていたため、あるいはしなやか枝が風に揺れる様子から「山振(やまぶり)」となり、それが転じて「山吹」になったとも。
学名「Kerria」は19世紀イギリススコットランドの植物学者ウィリアム・カーに由来。
歴史
主に観賞用で「万葉集」に17首登場するなど古くから親しまれてきた花の一つ。特に蛙(かわず)との詠み合わせが多い。
また江戸城を建築したことでも知られる太田道灌が、有名な歌人になるきっかけとなったという逸話がよく知られている。
ある時道灌が農家で蓑を借りようとしたところ、娘から蓑の代わりにヤマブキの枝を差し出され立腹。
平安時代の「後拾遺和歌集」に八重のヤマブキが実がならないことを詠んだ「七重八重花は咲けども山吹の実の一つだになきぞ悲しき」という歌があり、差し出されたヤマブキの枝が「実の(蓑)は一つもない」という意味だと気付かなかったことを後に恥じ、それが歌人になるきっかけとなった。
利用・用途
庭や公園などに植栽され、花は一重と八重があり、園芸用としては八重咲きがよく栽培される。
よく似た植物
シロヤマブキ(Rhodotypos Scandens)はシロヤマブキ属のヤマブキとは別属の花で、花も4弁(ヤマブキは5弁)。
京都の山吹スポット
洛西の松尾大社と京都御苑が名所として特によく知られている。
寺社名 | エリア | ポイント | |
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京都御苑 | 京都御所 | 御苑北西部の縣井戸の付近は後鳥羽院などの歌にも詠まれている山吹の名所 また御苑の南西部「出水の小川」では遅咲きの里桜とのコラボも楽しめる |
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梨木神社 | 京都御所 | 紀貫之が「古今和歌集」で詠んでいる「吉野川 岸の山吹 ふくかぜに そこの影さへ うつろひにけり」にちなみ梨木通の両側に山吹が植えらたという |
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下鴨神社 | 京都御所 | 楼門前や御手洗池にかかる朱塗りの輪橋(そりはし)と山吹とのコントラストが絶妙 |
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松尾大社 | 松尾・桂・西京極 | 京都のみならず関西でも有数の山吹の名所 境内を流れる一の井川周辺で約3000株の山吹が一面に咲き、そばにある水車や石橋、石灯籠などとの組み合わせも趣がある 4月中旬~5月上旬にかけて「山吹まつり」も開催し様々な神事や行事が行われる、5/3にはライトアップも 上古の庭周辺ではシロヤマブキも見られる |
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城南宮 | 鳥羽・竹田・淀 | 神苑「楽水苑」の「平安の庭」付近 |
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興聖寺 | 宇治 | 4月中旬、宇治十二景の一つに数えられ秋には紅葉が見事な「琴坂」と呼ばれる参道付近で、春には自生する一重咲きの山吹が見られる |
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恵心院 | 宇治 | 恵心院に続く参道の両サイドに黄色い花が咲き誇る |
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貴船神社 | 鞍馬・貴船・花背 | |
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井手の玉川 (玉川の桜並木) |
井手 | 日本六玉川の一つに数えられ「平成の名水百選」にも選定、春は桜の名所としても知られる 桜の後の山吹も有名で奈良時代の政治家・橘諸兄が玉川堤に植えたといわれ、天平時代より古歌に詠われてきた 堤一帯に約5000本が一斉に咲き誇る |