薔薇(バラ)

薔薇(バラ)

薔薇(バラ)

薔薇とは?(Rose)

クレオパトラの薔薇風呂であまりにも有名な別名「花の女王」

DATA

学名は「Rosa」、英名は「Rose(ローズ)」。
バラ科バラ属の落葉または常緑の低木または多年草の総称。
膨大な園芸品種が作出されており、高さや花期は品種により異なる。
春の5~6月と秋の10~11月にかけて、茎の頂上に花を咲かせる、花の色は白、黄、橙、ピンク、赤、青、紫と様々。
花びらが5枚に多数の雄しべが集まる一重咲きが基本形だが、園芸品種は大半が八重咲き。
また花びらの形は剣弁・半剣弁・丸弁・波状弁、咲き方にも高芯咲き・ロゼット咲き、平咲きなどがあるが、主流なのは「剣弁高芯咲き」。
「綺麗な花には棘がある」のことわざにもあるとおり、枝や茎に棘(とげ)があり、蔓状となるものも。
ユーラシア大陸の亜熱帯地域、中国の雲南省からチベットやミャンマーにかけてバラの野生品種が多数自生しており、この一帯が原産と考えられている。
ここから中近東やヨーロッパ、北アメリカなどへと伝播し、北半球の温帯域に広く自生しているが、南半球には自生しない。
日本も古くは奈良時代の「常陸国風土記」や「万葉集」に記録が残るなどバラの自生地として知られ、「野茨(ノイバラ)」「浜茄子(ハマナス)」「照葉野茨(テリハノイバラ)」などの品種が知られている。
高さは15cm~2m、大きいものは3mにまで達する。

名前の由来

「バラ」の名は棘(とげ)のあるつる植物の総称である「いばら(茨)」からの転訛。
「薔薇」は音読みで「そうび」とか「しょうび」とも読む。
英名の「Rose」はギリシャ語でバラを意味する「rhodon」に由来、また遡ればケルト語で赤を意味する「rhodd」という言葉に由来しているという。

歴史

古代~貴族の贅沢品としてのバラ

バラは古代遺跡にもその姿が見られるなど古来より人類に親しまれてきた植物の一つで、古くは古代メソポタミアの伝説的の王ギルガメシュについて描いた紀元前2000年紀初頭の「ギルガメシュ叙事詩」にその名が見られる。

また地中海に浮かぶギリシャのクレタ島で紀元前18~16世紀頃に栄え、「ミノア文明」と呼ばれる独自の青銅器文明を発展させた古代都市クノッソスの遺跡の壁画にバラが描かれているほか、紀元前6世紀頃の古代ギリシャの女流詩人サッフォーがバラを「花の女王」と謳っている。

その後紀元前4世紀にインド征服目前に熱病で急逝するまで、わずか10年足らずでギリシャからペルシャ、エジプトと制服し空前の大帝国を作り上げたマケドニア王国のアレクサンドロス大王(アレクサンダー大王)の東方遠征により、ギリシャとオリエントの東西の二つの文明が結びつき、ヘレニズム文化が生まれるとバラも各地にもたらされることになる。

そしてローマ帝国時代にエジプトを統治したクレオパトラ(7世)はバラ好きだったことで有名。世界三大美女の一人にも挙げられる彼女は、ローマ帝国の英雄カエサル(シーザー)やアントニウスを部屋に迎える際に膝の高さまでバラの花びらを敷き詰めたとか、その美貌を保つためバラの香油を入れ花びらを浮かべた「薔薇風呂」に入っていたといったエピソードが残る。

また暴君として知られるローマ帝国第5代皇帝ネロもバラ好きだったといわれており、天井からバラの花びらのシャワーを降り注ぎ晩餐会の部屋をバラの花で埋め尽くしたといわれ、貴族の贅沢品としてバラた大変な人気だったことが窺える。

中世~薬用としてのバラ

中世ヨーロッパでは、バラの美しさや芳香が「人々を惑わす」というキリスト教の禁欲的な道徳的価値観から栽培は制限され、教会や修道院の庭で薬草として栽培。これが後のバラ園やイングリッシュ・ガーデンの基礎となる。

またちなみにキリスト教では赤バラがキリストの血、白バラがマリアを象徴、一方イスラム教でも赤バラは唯一神アッラー、白バラは預言者ムハンマドを象徴するなど重要かつ神聖な花とされている。

近世~観賞用バラの主流をなす「モダンローズ」の登場

その後14~16世紀にギリシア・ローマの古代文化を理想とし復興させつつ新しい文化を生み出そうとする「ルネサンス」運動の高まりとともにバラの栽培も再び盛んに。

更に19世紀に入るとナポレオンの皇后ジョセフィーヌによりバラの栽培技術は飛躍的に進化。バラ好きだった彼女は世界中から250種類以上を集めてマルメゾンの庭園を作ったといい、このバラ園で育った多くの育種家たちの手で西洋と東洋のバラの人工交配が行われ、新種のバラが次々と生み出されていったという。

そして1867年にフランスのギョーが生み出した「ラ・フランス」は、冬を除き一年中花を咲かせる「四季咲き性」と剣のように尖った花びらを外側に反り返らせる「高芯・剣弁咲き」の特性を持ち、現在の観賞用バラの主流をなす品種の元祖。

「ラ・フランス」の誕生以前のバラは「オールドローズ」、誕生以降に開発されたものは「モダンローズ」と呼んで区別され、これをきっかけに世界中の人々のバラのイメージは大きく変わることとなる。

現代~理想を極めた究極のバラ「イングリッシュローズ」の登場

また1970年代に入ると清楚で華やかな香りのオールドローズと豪華で色鮮やかなモダンローズの特徴を併せ持つ「イングリッシュローズ」という品種も登場している。

黄色いバラ・青いバラ

黄色いバラは1900年にフランスの育種家ジョセフ・ペルネ=デュシェにより最初の品種「ソレイユ・ドール(黄色の太陽)」が生み出され、現在の黄色い品種のすべての元となっている。

一方青いバラは遺伝子組み換え技術など様々な試みが行われているが、完全な青色といえる品種は現在の園芸品種にも存在しておらず、世界中の育種家の夢として品種改良競争が続いている。

日本におけるバラの歴史

バラは「万葉集」でも丈部鳥(はせつかべのとり)により「みちの辺(へ)の 茨(うまら)の末(うれ)に延(は)ほ豆の からまる君を 離(はか)れか行かむ」と詠まれるなど、日本にも自生し「うまら」「うばら」の名で古くから親しまれてきた。

また奈良時代初期にまとめられた「常陸国風土記」の中で「朝廷から派遣された黒坂(くろさかの)命(みこと)が、朝廷に従わない豪族を「茨(いばら)」で城を築き、またはその住処を茨で塞ぎ滅ぼしたとの記述されており、茨城(いばらき)の地名の由来にもなっている(ちなみに茨城県の県花はこれにちなみバラである)。

その後も平安時代の「源氏物語」「枕草子」などにも名前が登場、更に江戸初期には仙台藩の伊達政宗の家臣で慶長遣欧使節団の副使としてヨーロッパに渡航した支倉常長(はせくらつねなが)が「日本最古の洋バラ」を持ち帰ったといわれ、その花が描かれた絵が宮城県松島町にある「円通院(えんつういん)(薔薇寺)」に残っている。

明治時代に入ると明治初期に誕生した「ラ・フランス」が取り寄せられ栽培されるなどし皇族や華族、高級官僚などの間で愛好者が増え、大正・昭和期には一般家庭にも普及、第二次世界大戦後の1948年には第1回日本バラ展が開催され、その後も戦後の高度成長に伴い嗜好品として人気を集め、品種改良も盛んに行われるようになった。

日本のバラ園

今日よく見られるバラ園の嚆矢となったのは、京阪電鉄が枚方市に開園させた「ひらかた大バラ園(現在のひらかたパーク・ローズガーデン)」で、まだバラが一般家庭には普及していなかった1955年(昭和30年)に日本で唯一の英国園芸協会会員だった岡本勘治郎の監督により「東洋一のバラ園」を目指してオープンした。

これがきっかけとなり鉄道会社が沿線開発の一環としてバラ園の造営を行うようになり、各地にバラ園が次々と生まれていったという。

利用・用途

観賞用の「モダンローズ」

庭木や切り花などの観賞用として現在主流となっているのはいわゆる「モダンローズ」で、冬を除き一年中花を咲かせる「四季咲き性」と、剣のように尖った花びらを外側に反り返らせる「高芯・剣弁咲き」の特性を持っている。

主なモダンローズの品種として「ハイブリッド・ティーローズ」「フロリバンダローズ」「クライミングローズ」「シュラブローズ」などがある。

香料の「オールドローズ」

花びらを蒸留してできるローズオイルが原料となる。この点モダンローズからはローズオイルはほとんど採取できないため精油には向いておらず、香料(香水の材料)として使用されるのはもっぱら「ダマスクローズ」や「センティフォーリア」などの「オールドローズ」。

主な効用は精神の鎮静化(リラックス効果・不安抑制や安眠)、消化系器官の健常化のほか、強力な殺菌作用などで、リラクセーションやストレスの解消を目的としたアロマテラピーで女性の高い人気を集めている。

ちなみに主なオールドローズの品種として西洋種には「ガリカ」「ダマスク」「アルバ」「セントフォーリア」、東洋種として中国の「コウシンバラ(庚申薔薇)」や日本の「ノイバラ(野茨)」があり、このうち春にしか咲かない一季咲きの西洋種と中国の四季咲きのコウジンバラを組み合わせることでモダンローズが生み出されることになったという。

薔薇水(ローズウォーター)

花びらを蒸留しオイルが取り分けられた後に残る蒸留水で、その保湿・美肌成分から化粧水として利用されたり飲用やサプリメント、コスメなどにも使用されている。

食用(エディブル・フラワー)

食用として栽培されたバラの花びらは生食でき、豊富な食物繊維が含まれている。

よく似た植物

「野茨(ノイバラ)」

学名は「Rosa Multiflora」、英名は「Eijitsu Rose」、「野薔薇(ノバラ)」とも表記。
バラ科バラ属の落葉性のつる性低木。
花期は5~6月と一季咲きで、枝の先端に2cmぐらいの花を咲かせる、花びらは5枚で雄しべが黄色く、花の色は白色または淡紅色。
日本原産のバラの代表的な品種で、沖縄以外の全国各地の山野に多く自生。
バラの原種として品種改良に用いられ、園芸品種に「房咲き性」をもたらした。
高さは2mぐらいまで成長。
果実は「営実(エイジツ)」と呼ばれる生薬で、利尿作用があるほか、皮膚を保護する作用がありおできやにきび、腫れ物などに効果が期待できる。

「浜茄子(ハマナス)」

学名は「Rosa Rugosa」、英名は「Rugosa Rose」、「浜梨」とも表記。
バラ科バラ属の落葉低木。
夏の5月上~8月中旬にかけて、野生のバラとしては大きめの6~8cmぐらいの一重の花を咲かせる、花びらは5枚で花の色は赤い花だがまれに白花も。
秋には2cmほどの果実をつけこれも美しい。
東アジアの温帯から冷帯にかけて分布し主に海岸の砂地に自生、北海道を中心に茨城以北の太平洋沿岸、鳥取以北の日本海沿岸などに生息、京都では天橋立も名所として有名。
バラの原種として品種改良に用いられ、「ルゴザ系」の生みの親。
高さは1~1.5m。
「ハマナス」の名の由来は、海岸の砂浜に生え果実が梨(ナシ)に似た形(あるいは味)をしていることから「ハマナシ」と呼ばれ、それが転訛したもの。
果実は食用でビタミンCが豊富、ジャムや薬用種、健康茶のローズヒップになるほか、のど飴などの菓子に配合されることも。

「コウシンバラ(庚申薔薇)」

学名は「Rosa Chinensis(ロサ・キネンシス)」、英名は「China Rose」「Monthly Rose」、「長春花」の別名あり。
バラ科バラ属の常緑低木。
花期は長く四季咲き性を持ち、5~7cmの花を咲かせる、花びらは5枚で雄しべが黄色く、一重咲きだが八重咲きもあり、花の色は紅紫色や桃色。
原産は中国の四川省や雲南省。
「四季咲き」の園芸植物として中国で広く栽培されているほか、バラの原種として品種改良に用いられ、観賞用の「モダンローズ」の誕生に重要な役割を果たした。
高さは1~2m。
「コウシンバラ」は庚申月(隔月)に咲く性質から。
花と実は生薬となり、中国漢方薬として生理不順、生理痛、甲状腺の腫れに効果が期待できる。

京都の薔薇スポット

寺社名 エリア ポイント
宇治市植物公園 宇治市植物公園 宇治 200平方メートルに24種のバラ、園内に「バラの小径」
京都府立植物園 京都府立植物園 北山・上賀茂 園内の南半分を占める洋風庭園に比叡山を借景にしたバラ園
アンネ・フランクゆかりの「アンネのバラ」や嵯峨野・嵐山・高雄・鞍馬など京都の地名にちなんだ名前のバラなど250~300品種2000株
10月中旬頃からの秋バラの見頃に合わせて「バラ展」も開催
京都府立大学 京都府立大学 北山・上賀茂 大学会館横に「ローズサークルばら園」があり約50株植栽
1957年(昭和32年)に創部したローズサークルが毎年「ばら展」を開催
NO IMAGE 道の駅 ガレリアかめおか 亀岡 国道9号線沿い、道の駅の建物の西側に隣接するバラ園、芝生広場の約200mの遊歩道沿いに市民の手で植えられた36種類・約1300本が咲き誇る
5月と10月の年に二度の見頃、5月中旬から下旬にかけて開催される「ガレリアばらフェスタ」ではバラの品種説明や育て方のアドバイス、、ローズティの無料サービスなどが実施される
綾部バラ園 綾部バラ園 綾部 2010年10月に綾部市制施行60周年記念事業の一環でグンゼ博物苑敷地(あやべグンゼスクエア)内に開園
約120種類1200本のバラに加え中心に位置する中央花壇には平和と命の大切さを伝えるアンネ・フランクゆかりの「アンネのばら」を植栽する
見頃の5月下旬から3週間と10月下旬から2週間にかけては「バラまつり」を開催
天橋立 天橋立 宮津・伊根 4月下~7月、天橋立公園の浜辺にハマナスが自生
廻旋橋を渡った先の小天橋ににある「はまなすの小径(こみち)」は背丈40~50cm程の濃いピンク色のハマナスの群生地
NO IMAGE すとろべりぃあいすバラ園 舞鶴 西舞鶴、2000平方メートルの敷地に全国第2位の1100品種の色とりどりのバラが咲く
品種は原種・オールドローズ・イングリッシュローズ・つるバラ・現代バラ
バラ苗や花束・土・ガーデニンググッズなどバラに関するものなら何でも手に入る

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