京都府綾部市上延町堂ノ奥、JR綾部駅より南西へ約2km、徒歩30分の所にある高野山真言宗の寺院。
正式名は菅谷山法隆寺東光院といい、山号は?菅谷山、本尊は薬師如来(薬師瑠璃光如来)。
寺伝によると、天武天皇の673年(白鳳2年)、三河鳳来寺と同じ理趣仙人によって開創されたのがはじまりで、当時は七堂伽藍を備えた大寺院であったといわれています。
その後平安中期の1005年(寛弘2年)に聖楽上人によって中興され、坊舎二十一坊を備えて隆昌しましたが、応仁の乱(1467-77)に続き1489年(延徳元年)から翌年にかけて発生した、丹波守護代・上原氏の横暴に対して位田氏や荻野氏ら地元の土豪や有力国人たちがが兵を挙げ位田城を守って戦った騒乱「位田の乱」の兵火で焼失。
更に明暦年間にも火災にあって炎上していますが、その都度再建され、趣のある本堂や室町時代の造立といわれる二王門と左右の金剛力士像などが寺の長い歴史を偲ばせてくれます。
文化財としては平安~室町期に書写された約30巻の「大般若経」は丹波における平安時代の写経事業を伝える数少ない遺巻で大変貴重なもので、綾部市指定文化財。
最古のものには仁平二年(1152年)の奥書があるほか、また他にも「志万庄法隆寺(巻第50)」の奥書があるものもあり、このことから当時は「法隆寺」と呼ばれていたことも分かるといいます。
また室町期の「経櫃懸子」は杉板製漆塗で、長方形、底は浅板張り、内面と底面に漆書、墨書があり、1490年(延徳2年)頃の「位田の乱」の際の岡町木曾殿神社の焼失の事が記録されているといい、こちらも綾部市指定文化財に指定されています。
境内は緑豊かな自然に囲まれた静謐な環境で、池では見事な錦鯉が泳ぐ姿がみられるほか、紫陽花(アジサイ)の寺としても知られていて、参道や霊園への道沿いなどを中心に境内には約2500株のアジサが自生し、6~7月にかけての見頃の時期には青や紫、ピンクなど色とりどりの花が境内に彩りを添えます。
またアジサイと同時期の6月から夏にかけては、境内の至る所に風鈴が配置され、山から吹き下ろす風が吹くたびにチリンチリンと約500~1000個ともいわれる風鈴が一斉に鳴り響く音はいかにも涼し気で、訪れた人の心を和ませてくれるのみならず、近年は写真映えするとしてSNSなどを利用する若い女子などからも人気を集めているといいます。
そして梅雨の時期にはアジサイと風鈴のコラボが楽しめる「あじさい風鈴まつり」、夏には約400個の風車(かざぐるま)を見ながら風鈴の音色を満喫できる「風鈴とかざぐるま」のイベントも開催されていて、新たな夏の風物詩となっています。
その他にも桃の節句に合わせて毎年2月初旬から3月初旬にかけて境内や屋内に500体以上の雛人形が飾られる「みんなのひなまつり」のほかほか、季節ごとのイベントや、星まつりや青葉まつりなど年中行事、法要などが執り行われています。