観音寺(山崎聖天)
観音寺(山崎聖天)とは?(基本データ)
- 名前
- 観音寺(山崎聖天)(かんのんじ(やまざきしょうてん))
- エリア
- 西山・乙訓
- ジャンル
- 建立・設立
- 899年(昌泰2年)
- 創始者
- 寛平法皇(宇多天皇)
- 宗派
- 真言宗単立寺院
- 山号
- 妙音山
- 本尊
- [本堂] 十一面千手観世音菩薩立像
[聖天堂] 大聖歓喜雙身天王(歓喜天) - ご利益
- 夫婦和合、除災招福、商売繁盛
- 寺紋
- 桔梗紋
- アクセス
- 駐車場
- なし
- 拝観料
- 境内自由・無料
- お休み
- 毎月10日~11日、20日~21日
※土日祝・行事等で多少替わる場合あり - 拝観時間
- 9:00~17:00
- 住所
- 〒618-0071
京都府乙訓郡大山崎町大山崎白味才62 - 電話
- 075-956-0016
- FAX
- 075-951-1748
- 公式サイト
- 観音寺(山崎聖天) 大山崎町
観音寺(山崎聖天)の地図
観音寺(山崎聖天)のみどころ (Point in Check)
京都府乙訓郡大山崎町大山崎白味才、天王山の東麓に位置する真言宗単立寺院。
「山崎の聖天さん」として京阪神の人々から厚い信仰を受けている寺院で、山号は妙音山で、本尊は十一面千手観音。
寺伝によると、平安中期の899年(昌泰2年)、第59代・宇多天皇(寛平法皇)(うだてんのう 867-931)の御願寺として創建されたと伝わりますが明確ではなく、記録上は江戸前期の1681年(延宝9年)に摂津国箕面の勝尾寺の僧・木食以空(もくじきいくう)が夢告によって当時を中興開山し、聖天堂を興して歓喜天を祀ったとされています。
以後は第112代・霊元天皇(れいげんてんのう 1654-1732)・第113代・東山天皇(ひがしやまてんのう 1675-1710)・第114代・中御門天皇(なかみかどてんのう 1702-37)の厚い帰依を受け、また商売繁盛・家運隆盛などの現世利益を願う住友家・鴻池家・三井家などの豪商たちの信仰を集めたほか、京都や大阪の商人の参詣を得て大いに発展。中でも住友家は立派な青銅製の大燈籠を寄進しており、現在は触れると商売繁盛が叶うとされるパワースポットとしても人気を集めています。
その信仰の対象となったのが本堂横の聖天堂に祀られた歓喜天で、本尊の観音菩薩よりも有名になり「山崎の聖天さん」として世間にも知られ、江戸時代を通じて栄えましたが、幕末の1864年(元治元年)に起こった「禁門の変」の兵火で本尊の十一面千手観音菩薩と秘仏の歓喜天は事前に避難させていたため焼失を逃れたものの、一山が灰燼に帰し、現在の伽藍は1890年(明治23年)以降に順次再建されたもので、聖天堂は天皇の命令により神社造で造られているほか、寺院でありながら鳥居の姿を見ることもできます。
毎月1日と16日の縁日には現在も多くの参詣者で賑わうほか、行事としては毎年4月初旬に開催される「花まつり」が有名。
その他にも境内地の東斜面には昭和初期に植えられた桜が多くあり春は桜の名所、また秋には紅葉や銀杏の黄葉が境内一面を彩る隠れた名所としても知られています。
ちなみに「聖天」とはは仏教の守護神である天部(毘沙門天・帝釈天・吉祥天などの天界に住む神々の総称)の一つである「歓喜天」の別名で、正式には「大聖歓喜大自在天(だいしょうかんぎだいじざいてん)」。
原型は古代インド神話において最高神・シヴァ神の息子で象を神格した「ガネーシャ神」と言われ、ガネーシャ神は元々は障害を司る神で人々の事業を妨害する魔王として恐れられる存在でしたが、やがて障害を除いて幸福をもたらす神として広く信仰されるようになりました。
ヒンドゥー教から仏教に取り入れられる際にも悪神が十一面観世音菩薩によって善神に改心し、仏教を守護し財運と福運をもたらす天部の神となり、日本各地の寺院で祀られるようになりました。
象頭人身(頭が象で体は人間)の姿で単身像と双身像があり、このうち双身像は男天と女天が相抱擁している姿で、夫婦和合・安産・子授けの神様として信仰されています。
そしてそんな聖天さんのシンボルとなっており、聖天を祀る寺院の境内で意匠としてよく見かけるのが「巾着袋」と「大根」ですが、大根は夫婦和合や縁結び、巾着は砂金袋(宝袋)で商売繁盛のご利益を現わしているといいます。
またその姿を見ると良くないことが起きるという言い伝えもあり、一般的にはその姿は簡単に見ることが出来ないよう多くは厨子などに安置され、秘仏として扱われており一般に公開されることは多くないといいます。
そして「百味供養」といわれるようにたくさんの供物をささげると多くのご利益が得られるともいわれ、平時より供物は欠かさず、また御縁日である毎月1日と16日には特別な供物が供えられるといいます。
中でも歓喜天の好物として有名なのが聖天さんのシンボルとして知られる「大根」であり、また仏教と共に遣唐使が中国から伝えて以来千年の昔より形を変えずに伝えられているという「歓喜団(かんきてん)」というお菓子だといいます。
なお歓喜天が祀られている寺院は「○○聖天」と通称されることが多く、京都府内では乙訓郡大山崎町の観音寺(山崎聖天)の他にも京都市上京区の雨宝院(西陣聖天)や京都市東山区の香雪院(東山聖天)、京都市山科区の双林院(山科聖天)、木津川市の光明山聖法院(銭司聖天)があります。
観音寺(山崎聖天)の施設案内
境内
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一の鳥居
西国街道沿い
そばに阪急バスの山崎聖天前バス停
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山崎聖天前バス停
阪急バス
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参道
JR東海道線と阪急京都本線の高架の下をくぐると石段が見えてくる
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石段
石段を上がると門前寺号標と二の鳥居が見える
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門前寺号標
境内北側
左に「観音寺」、右に「妙音山」の石標
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二の鳥居
聖天宮の扁額
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表参道石段
仁王門へと続く
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仁王門
妙音山の扁額、左右に仁王像
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分岐の石段と石垣
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境内参道
右側に庫裏、手水舎、藤棚、枝垂れ桜、本堂、聖天堂、土蔵
左側に茶所、宝篋印塔、薬師堂、鐘楼堂、光明殿
本堂前に池と大燈籠
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庫裏
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手水舎
取水口が龍の意匠
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藤棚
手水舎の裏
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枝垂れ桜
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茶所
内部は休憩所になっており、右手に弁財天や毘沙門天などが祀られている
右隣は授与所になっている
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宝篋印塔
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薬師堂
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鐘楼堂(時の鐘)
梵鐘は江戸幕府第5代将軍・徳川綱吉の生母・桂昌院(けいしょういん 1627-1705)の寄進
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池
本堂正面
亀の姿も
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大燈籠
江戸中期の1697年(元禄10年)、当時大坂の豪商であった住友吉左衛門友信が住友発祥の地である京都と当時の住友の拠点であった大坂との中間点であるこの山崎の地に、歓喜天(聖天)信仰と報恩謝徳を願い、また商売繁盛の祈誓のために寄進・建立されたもの
高さ3mあまりあり、1690年(元禄3年)に伊予国(現在の愛媛県)で発見された別子銅山の銅を使って鋳造されていて、当時の住友の繁栄ぶりが窺われる
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本堂
禁門の変で全山焼失の後、1880年(明治13年)に廃寺となった観音寺の本堂を移築
妙音山の扁額、本尊・十一面千手観音立像を安置
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鳥居
本堂の正面左手
歓喜天の扁額
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狛犬
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聖天堂
禁門の変で全山焼失の後、1880年(明治13年)に廃寺となった観音寺の本堂を移築
秘仏の大聖歓喜雙身天王(歓喜天)を安置
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土蔵
聖天堂の正面左手
禁門の変で唯一焼失を免れた建物
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光明殿
土蔵の左手
仁和寺より移築され元々は俗油堂と呼ばれて浴油供が行われる場所であった
後水尾、明正、霊元、中御門天皇の位牌と東山天皇の坐像を安置
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天王山への登山口
聖天堂の右を奥へ進むと裏側に門があり、門の外へ出るとすぐ天王山登山口
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西参道石段
稲荷社横の西門から急な石段を上がっていくと鐘楼堂の横を抜けて本堂の前に出る
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西門
稲荷社の東側の鳥居のすぐ横
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稲荷社(稲荷大明神)
鎮守社
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西参道
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西参道入口
境内南側
入口に「山崎聖天」の石標と天王山登山口の石標
周辺
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桜の広場公園
地元民の休憩所やピクニック、イベントなどに利用されている
公衆トイレも完備
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大山崎瓦窯跡
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蛇姫池
観音寺(山崎聖天)の主な年間行事・カレンダー
年中行事
- 1/1~1/3
修正会・福笹授与
神酒接待
- 1/16
歓喜会総会・福ぜんざい接待
- 2/3
節分星祭
甘酒接待
- 2/14~2/16
厳冬祭(厳冬謝恩祈願会)
毎朝5時と10時に二座修法を営み、商売繁盛や良縁和合、病気平癒、家内安全などを祈願
本堂では本尊供、聖天堂では浴油供(よくゆく)と華水供(けすいく)が行われる
結願日の16日には、14・15日の厳冬祭のお供えを使った無料のかす汁接待も- 3月春季彼岸
彼岸会
- 4月初旬の日曜
花まつり(お花祭)
桜の花をはじめとする花々を聖天さんに献上する行事
僧侶を先頭とした行列が散華しながら聖天堂を一周、聖天様にお供えした後に童子たちによる舞楽の奉納、午後からは壬生六斎念仏や日本舞踊などの奉納行事も
11:00 法要ならびに舞楽
12:00 壬生六斉念仏・日本舞踊
神酒接待あり- 5/1
双喜婦人会総会
- 旧暦の7/7
七夕会
- 8/13
開山忌
- 8/13~8/15
盂蘭盆会
- 8/16
氷接待
- 9月秋季彼岸
彼岸会
- 10/1
双喜婦人会総会
- 11/10~11/16
謝恩大浴油供(大根焚き接待)
- 12/8
稲荷社御火焚祭
- 12/16
納め聖天
- 12/31
除夜の鐘
元日の午前0時から108回限り
参拝者も撞くことができる
月並行事
- 毎月1日・16日
天尊御縁日
- 毎月18日
本尊十一面千手観世音菩薩御縁日