京都市上京区智恵光院今出川上る、西陣織で有名な西陣の地に鎮座する神社。
源義経の奥州出発の地と伝わり、旅行安全の社として崇敬を集めています。
創建年は不詳ですが、元々の名は「内野八幡宮(うちのはちまんぐう)」といい、八幡宮の総本宮で日本三大八幡宮の一つでもある大分の「宇佐八幡宮」を勧請したのがはじまりと伝わり、誉田別尊(ほんだわけのみこと)(応神天皇)・比賣大神(ひめおおかみ)・息長帯姫命(おきながたらしひめのみこと)(神功皇后)のいわゆる「八幡大神」が祀られています。
平安京大内裏の北東(表鬼門)に位置したため王城鎮護の神とされ、また桃園親王がこの地に邸宅を建て、境内地に桃の木を植え春には桃花祭を行うなど、諸人の崇敬の厚い神社として、天皇家からも深い信任を得ていたといいます。
平安末期にはこの地に奥州で産出される金を京で商うことを生業としていた金売吉次(かねうりきちじ)の屋敷があったと伝わり、1174年(承安4年)3月3日、鞍馬山を抜け出した16歳の源義経が奥州平泉の藤原秀衡の元へ赴くに際し、吉次の助けを得て、この神社で道中の安全を祈願して出立したといわれています。
ちなみに「首途(かどで)」とは「出発」を意味し、この由緒により「首途八幡宮」と呼ばれるようになり、特に旅立ち、旅行の安全の信仰を集めるようになりました。
境内には義経が奥州へ首途して830年目を記念した「源義経奥州首途之地」と書かれた石碑が建てられており、「源義経ゆかりの地」として義経ファンにも人気のある神社です。
また八幡神の神使であり、また瑞鳥として古代より崇敬される「鳩」の姿が、門や手水舎などの境内の随所に見られ、旅行安産のお守りや絵馬のデザインにも鳩の意匠が使用されており人気を集めています。
例祭は9/15。
また桃の花の名所としても有名で、赤、白、桃色の3色が入り乱れて花を咲かせる珍しい「源平枝垂れ桃」があり、桃の季節の4月上旬には「義経首途祭」が開かれることでも知られています。
境内のすぐ隣りには「西陣五名水」の一つである「桜井」ゆかりの桜井公園があり、復元された井戸があるほか、春には数多くの桜も咲く市民憩いの場になっています。