梅擬(ウメモドキ)(Japanese Winterberry)
梅擬とは?
梅に似た樹姿と小さな赤い果実で庭木として人気を集める
DATA
学名は「Ilex Serrata」、英名は「Japanese Winterberry」。「オオバウメモドキ(大葉梅擬)」の別名あり。
モチノキ科モチノキ属の落葉低木。
5月~6月にかけて葉の付け根に淡紫色の3~4mmの花を集中して咲かせるが、あまり目立たない。
観賞されるのは果実の方で、9月頃より直径5mmくらいの赤い球形の果実を枝にびっしりと付け、12月には落葉して赤く熟した果実のみが残る。
雌雄異株のため雌木にのみ果実がつく、また果実は発芽抑制物質を含み鳥に食べられることで発芽する仕組みになっているため、果実を観賞するだけでなく果実目当てに集まる小鳥を観察することができるのが良い。
日本固有種で、日本の本州、四国、九州に分布。
高さは2~3m。
名前の由来
名前の由来はモチノキの仲間でウメ(梅)の仲間ではないが、葉の形や枝振り、実の形などがウメに似ているため「ウメモドキ」の名がつけられたといわれている。
学名の「Serrata」は「鋸歯のある」という意味で、葉の縁に小さなギザギザがあることに由来。
歴史
詩歌などにはあまり名前が登場しないが、江戸時代の1695年に江戸の園芸家・伊藤三之丞(3代目伊藤伊兵衛)が著した「花壇地錦抄」にその名が見える。
利用・用途
山野の主に湿った場所に自生するほか、庭木として玄関脇や池の端、灯籠周りに添える木(灯障の木)として植えられたり、鉢植え・盆栽・生け花などにも用いられる。
南天や千両との違い
「南天(ナンテン)」も「千両(センリョウ)」も赤い実をつけ見分けがつきにくいが、梅擬は落葉低木で冬には葉が落ちて枝と赤い実だけが残る。
また梅擬は葉が楕円形で、先端が尖り、葉の縁が細かい鋸歯形状、また葉の裏に毛があるのが特徴。
よく似た植物
「キミノウメモドキ」
名前のとおり果実が黄色く熟する。
「シロウメモドキ」
名前のとおり果実が白く熟する。
「イヌウメモドキ」
ウメモドキに似ているが葉の裏に毛がない。
「フウリンウメモドキ」
園芸品種でまるで風鈴のように枝にぶら下がる様に伸ばした長い柄の先端に赤い実を付ける。
「大納言」
園芸品種で野生のものの中から特に果実の大きなものを選んで繁殖・育成。
「コショウバイ」
園芸品種で直径1.5mmほどの果実をびっしり付ける。
「アオハダ」
同属で赤い実をつけるが、こちらの方が高木である。
その他
モチノキ科モチノキ属の仲間としてはクリスマスホーリー(セイヨウヒイラギ)やモチノキなどがあるが、他のモチノキ属のもののように「鳥もち」は採取されない。
他に赤い実をつける植物として「ガマズミ(莢蒾)」「白山木(ハクサンボク)」がある。
また「ツルウメモドキ(蔓梅擬)」はニシキギ科ツルウメモドキ属で全くの別種。
京都の梅擬スポット
寺社名 | エリア | ポイント | |
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南禅寺 | 岡崎・吉田・鹿ケ谷 | 12月上~1月下旬 |
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落柿舎 | 嵐山・嵯峨野 | 次庵の前庭 |
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法金剛院 | 衣笠・御室・花園・太秦 | |
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京都府立植物園 | 北山・上賀茂 | 植物生態園にウメモドキ、東入口北にシロウメモドキ |
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詩仙堂 | 一乗寺・修学院 | 10月中旬、石川丈山作の庭園では四季折々の草花が楽しめる |
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圓光寺 (円光寺) |
一乗寺・修学院 | 12月上~1月下旬 |