無鄰菴
京都市が所有する明治・大正の元老 山県有朋の別荘
明治・大正の元老山縣有朋の京都の別荘で1896年完成。同名の山縣邸の3つ目で南禅寺西側の琵琶湖疏水そばに建つ。 名前は最初に長州に建てた草庵が隣家のない閑静な所だったため。 和風の母屋と日露戦争開戦前の無鄰菴会議で有名な洋館、明治期の名園として名高い名勝指定の庭園で構成
無鄰菴とは?(基本データ)
- 名前
- 無鄰菴(むりんあん)
- エリア
- 岡崎・吉田・鹿ケ谷
- ジャンル
- 建立・設立
- 1896年(明治29年)、無鄰菴庭園作庭
1898年(明治31年)に洋館完成
1番目の「無鄰菴」は山縣有朋の出身地である長州(山口県)の下関に作られ、後に幕末の志士・高杉晋作の愛人おうの(谷梅処)に高杉の没後の1869年(明治2年)に贈られ「東行庵」となる
2番目の「無鄰菴」は1891年(明治24年)に京都の木屋町二条に購入した別邸で、現在は日本料理レストラン「がんこ高瀬川二条苑」 - 創始者
- [別荘] 山縣有朋
[庭園] 7代目小川治兵衛 - アクセス
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- 三条京阪駅から京都市営地下鉄東西線「蹴上」駅下車 北西へ徒歩約7分
- 京都市営バス「神宮道」(5・46・急100号系統)下車 北東へ徒歩約10分
- 京都市営バス「岡崎公園 美術館・平安神宮前」(5・46・急100号系統)下車 徒歩約9分
- 京都市営バス「南禅寺・疏水記念館・動物園東門前」(京都岡崎ループ)下車 徒歩約3分
- 京阪バス「蹴上」(17・19系統)下車 徒歩約7分
- 駐車場
- 市営岡崎公園地下駐車場
├大型バス28台 2500円
├普通車506台 1時間500円(以降30分毎200円)
├自動二輪小型 300円
├自動二輪大型 400円
└自転車 200円
24時間(普通車22:30~7:30は700円)
TEL:075-761-9617 - 拝観料
- ■入場料
├小学生以上 410円
└小学生未満 無料
※市営地下鉄1dayフリーチケット提示した人は100円引
※団体割引なし
■お抹茶
└和菓子付400円
※母屋2階・茶室は別途有料(要予約) - お休み
- 年末(12/29~12/31)
※2017年(平成29年)より正月も開場 - 拝観時間
- 4~6月 8:30~18:00
7~8月 7:30~19:00
9~10月 8:30~18:00
11月 7:30~18:00
12~3月 8:30~17:00
※最終入場は閉場時間の30分前 - 住所
- 〒606-8437
京都府京都市左京区南禅寺草川町31 - 電話
- 075-771-3909(無鄰菴管理事務所)
075-222-4105(京都市文化芸術企画課) - FAX
- 075-771-3909
- 公式サイト
- 京都 東山・南禅寺界隈の傑作日本庭園 名勝無鄰菴
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無鄰庵庭園 文化遺産オンライン
無鄰菴の地図
無鄰菴のみどころ (Point in Check)
京都市左京区南禅寺草川町、地下鉄東西線の蹴上駅からほど近い「東山南禅寺界隈別荘群」の一角にある、明治・大正時代に政治家・軍人として活躍した元老・山縣有朋(やまがたありとも)が造営した別荘。
現在は京都市に寄贈され、「東山南禅寺界隈別荘群」の中で唯一通年公開されています。
「東山南禅寺界隈別荘群」とは、明治から大正にかけ、当時は閑静だった岡崎の地に政界や財界の要人たちが競うようにして建造した住宅や別荘のこと。
明治維新の後、東京に首都が移されたことで、天皇の居なくなった京都は衰退の一途を辿ります。
そこで京都府知事だった北垣国道は、衰退した京都を復興させるために大津から山科を経由して京都の蹴上へと琵琶湖の水を引き入れるいわゆる「琵琶湖疏水」計画を立案し、1890年(明治23年)に岡崎・南禅寺界隈に開通しました。
岡崎・南禅寺界隈ではその当時明治政府の政策によって南禅寺境内の4/5が国有地となっていたこともあり、疏水の開通に伴って疏水の水力を利用した一大工業地帯を作ろうとの計画が上がっていましたが、国外から水力発電の技術が導入されたことで、隔たった場所への送電が可能になり工場を一つの地域に集合させる必要がなくなったことから、岡崎・南禅寺界隈一帯の美しい景観を守るため、財界を主とする人々の別荘群として利用し風致を保存しようという方針が京都市で決定されます。
それまでの主に石庭に見られるような池を海に、岩を島に見立てる象徴主義的な庭園から、琵琶湖疎水の豊富な水量を利用した里山の風景や小川そのもののような躍動的な流れをもつ自然主義的な新しい庭園観により造られた庭園を持つ別荘が数多く建造され、近代日本庭園の名庭が今も数多く残る「南禅寺界隈別荘群」の誕生するきっかけとなりました。
そして無鄰菴庭園はこの琵琶湖疏水の水を利用した代表的な庭園の一つであり、「南禅寺界隈別荘群」においては現在でも多くの建物・庭園が残されていますが、現在のところそのほとんどが通常非公開で一般公開されているところは無鄰菴以外にないことから貴重な存在となっています。
その「無鄰菴」は「明治の元勲」といわれた元老・山縣有朋の別荘の一つだが、実はこの名が付けられた別荘としては3代目にあたります。
最初の無鄰菴(第一無鄰菴)は山縣の出身地である長州下関(山口県)に建てられた草庵、次の無鄰菴(第二無鄰菴)は高瀬川源流の木屋町二条(京都市中京区)にて購入された別邸、最後がこの南禅寺の傍らに建てられました。
初代の無鄰菴はすでに失われており、2代目は所有者が変わり改修を受けていますが、現在も「がんこ高瀬川二条苑」として現存しています。
ちなみに名前の由来は初代の草菴が隣家のない閑静な場所にあったことから名付けられたとも、あるいは「論語」の「徳不孤必有鄰(徳は孤ならず、必ず隣あり)」からともいわれています。
そして第三無鄰菴は京都市左京区、南禅寺の西側、琵琶湖疏水のほとりに造営した山県有朋の京都における別邸で、1894年(明治27年)に造営に着手の後、1896年(明治29年)に完成しました。
敷地は三角形の形状で、広さ約3100㎡(3,135㎡)あり、その大半を占める日本庭園「無鄰菴」と、「母屋」「洋館」「茶室」の3つの建物によって構成されています。
建物は数寄屋造で簡素な木造2階建ての「母屋(おもや)」と、薮内流「燕菴(えんなん)」を模したといわれる「茶室」、煉瓦造2階建ての「洋館」があり、このうち洋館の2階には1903年(明治36年)4月21日、ロシア帝国との緊張関係が続く中で日露戦争直前に山縣有朋が伊藤博文、桂太郎、小村寿太郎と計4名にて日露開戦に向けて話し合った「無鄰菴会議」に使われた部屋があり、当時の様子をそのままに保存されていて、1992年(平成4年)からは一般公開も行われています。
そして一番の見どころである庭園は、有朋自らの設計・監督により、造園家・七代目小川治兵衛(おがわじへえ)が作庭したもので、緩やかな傾斜地に東山を借景とし、琵琶湖疏水の豊富な水を引き入れ、三段の滝、池、芝生を配した池泉廻遊式庭園です。
開放的な芝生空間に野草や苔を生かした自由で野趣あふれる造りは、その後の日本庭園はこの庭を手本とすべしととも言われたといい、新たな様式で作られた京都の近代日本庭園の先駆け的存在といえ、明治時代を代表する名園として1951年(昭和26年)6月9日に国の「名勝」にも指定されました。
その後無鄰菴は1941年(昭和16年)に京都市へ寄贈され、現在は京都市が管理・公開しています。
「母屋」ではスタッフが丁寧にたてた抹茶を気軽にゆっくりと楽しみながら静かに庭園を鑑賞でき、また「洋館」の展示は無鄰菴の管理方法がわかりやすく解説されており、庭や野草に興味があれば一見の価値があります。
庭師による庭園案内や、無鄰菴にちなんだ工芸や茶道や華道に関する教室もよく企画されているほか、母屋2階と茶室は貸出しも行っています。
秋の紅葉も見事で、池泉回遊式庭園の木々が美しく色づき、庭園風景をより一層美しく見せてくれます。
無鄰菴の施設案内
館内
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表門
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駒札
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名勝無鄰菴庭園の石標
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参道
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受付
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潜り戸
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日本庭園
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母屋
2階建て 潜り戸くぐって左
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坪庭(中庭)
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庭
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母屋からの日本庭園
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読書室
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無鄰菴カフェ
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園道
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瀬落ち(せおち)と呼ばれる石で出来た段差
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芝生
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ひょうたん池
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灯籠
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御賜稚松乃記の碑
庭の中ほど、右手側 灯籠の奥
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苔庭
庭の東側 約50種類の苔
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沢飛石
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三段の滝
飛び石の奥 醍醐寺三宝院を模したと言われる
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茶室
潜り戸くぐって右 薮内燕庵(やぶのうちえんあん)を模して作られた
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蹲踞
茶室のすぐそば
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洋館
潜り戸くぐって右 庭園の南側
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洋館入口
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資料展示室
1F
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階段
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会議室
2F
「無鄰菴会議(むりんあんかいぎ)」が開かれた
天井が江戸時代初期の狩野派による金碧花鳥図障壁画
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洋館出口
関連
周辺
無鄰菴の主な年間行事・カレンダー
年中行事
月並行事
- 毎週水曜
野鳥ミニ講座
庭の主山である東山やその近隣で見られる野鳥の生態や習性、豆知識などを庭園の10分ガイドとともに紹介
13:05/13:30/14:05/14:30(各回約10分)- 毎週金・土
無鄰菴 裏千家茶道教室
裏千家流師範による京都市の文化財庭園での茶道の稽古
- 毎週土・日
週末庭園めぐり
庭園コンシェルジュによる庭園ガイド(抹茶付き)
各日 11:30~13:00(90分)- 不定期
イエス、能。/Yes,…Noh.
能の謡の一部を庭園や母屋で実演
- 不定期
日本庭園通史講座
花ごよみ
南天(ナンテン)●
花菖蒲(ハナショウブ)●
梔子(クチナシ)●
紅葉(こうよう)