京都市の西南に位置する洛西ニュータウンを見下ろす、タウン東側の丘陵地にある世界でも珍しい竹専門の施設。
洛西ニュータウンは竹の産地として知られる大枝・大原野に開発されましたが、ニュータウンの建設により多数の竹が伐採されたことから、残る竹林を積極的に保存しようという声が高まりました。
そこでニュータウンの記念事業の一つとして1981年(昭和56年)6月に開園されたのがこの竹林公園です。
竹は古くから日本人の生活・産業・分化・芸術などに深い関連持っていますが、一般的にその生態についてあまり知られておらず、そこで、竹の良さ、素晴らしさ、不思議さなどを広く再確認し、竹や竹林の魅力を再発見できるよう、関係機関の協力を得て、全国各地から多くの竹類を収集し、「生態園」に植栽するほか、貴重な資料などを「竹の資料館」に展示しています。
5000平方メートルの面積を有する「生態園」は回遊式の和風庭園としてデザイン・整備されており、京都特産のキッコウチク(亀甲竹)、黄金色に輝く天然記念物のキンメイモウソウ(金明孟宗)をはじめ、 クロチク、キンメイチク、ホテイチク、シボチクなど、国内外から集められた約110種類の竹・笹が植えられており、遊歩道を散策し、美しい竹林美の景観を楽しみながら竹の生態を観察することができます。
そして園の北東部にはしだれ桜を中心にした約500平方mの芝生地があり、広場の一角は学術的に貴重な竹類の数々が植栽される「見本園」となっており、生態園は竹林浴や散策を楽しむだけでなく勉強やリクリェーションの場としても活用できます。
また庭園内では1200年の歴史を誇る古都ならではの貴重な歴史的遺物にも出会うことができます。
このうち庭園中央の池に架かる石橋は「応仁の乱」の発端となり東軍と西軍が対峙し激しい戦いを繰り広げた「百々橋」が復元されたもの。
そして橋を渡って小さな石段を上った先にあるさまざまな形をした石造物(石仏)は、室町幕府最後の将軍・足利義昭のために織田信長が築いた旧二条城の石垣に使用したもので、地下鉄工事の際に発掘されました。
一方「竹の資料館」は「竹」をテーマに和風建築をイメージしてデザインされた鉄筋コンクリートの建物で、展示室のほか、研修室、茶室を備え、テラスからは生態園を一望することもできます。
京銘竹やアメリカの発明王「エジソン」が約100年前の1882年に京都の八幡のマダケををフィラメントとして利用し作った電球の復元模型をはじめ、竹の生理・生態を説明するパネル、海外の竹、茶筅(ちゃせん)や剣道用竹刀、尺八など竹に関する貴重な資料を数多く展示しているほか、京の伝統工芸品である竹製品なども展示即売されています。
また併設されている茶室「竹風軒」はお茶会にも利用でき、竹の風景を満喫しながらお点前を楽しめるほか、和室として撮影などにも利用できるといいます。
この他にも南サイドには約1,800平方メートルの緑の芝生広場が広がる「こどもの広場」があり、子供たちのリクリェーションの場として広く利用されています。