実光院
天台声明の道場にして秋は紅葉と不断桜との対比が見事
勝林院塔頭で寂源が天台声明伝承のため宝泉院とともに建立。大原陵の地にあったが1919年に普賢院、理覚院を併合し現在地に。 心字池を中心とした池泉廻遊式の契心園では四季折々の草花が楽しめ、秋は紅葉と春まで咲く不断桜との対比が見事。声明に使う楽器も陳列、庭を眺め声明を聴きつつ抹茶が頂ける
実光院とは?(基本データ)
- 名前
- 実光院(じっこういん)
- エリア
- 大原・八瀬・比叡山
- ジャンル
- 建立・設立
- 1013年(長和2年)
1919年(大正8年)、現在地に移転 - 創始者
- 寂源(円仁9代目の弟子)
- 宗派
- 天台宗
- 山号
- 魚山
- 本尊
- 地蔵菩薩座像
- 寺紋
- 札所等
- 京都洛北・森と水の会(大原エリア)
- アクセス
- 駐車場
- なし
- 拝観料
- 中学生以上 700円
小人 300円
※抹茶・菓子付
※団体割引なし、団体のみ要予約(電話・FAX)
※修学旅行パスポートのみ600円 - お休み
- 1/1
- 拝観時間
- 3~11月 9:00~16:30
12~2月 9:00~16:00 - 住所
- 〒601-1241
京都府京都市左京区大原勝林院町187 - 電話
- 075-744-2537
- FAX
- 075-744-2537
- 公式サイト
- 京都 魚山大原寺「実光院」
実光院 Twitter
京都大原 実光院 facebook
京都大原 実光院 Instagram
実光院 京都洛北・森と水の会
実光院の地図
実光院のみどころ (Point in Check)
京都市左京区大原勝林院町、三千院の奥、律川の流れの近くに位置する天台宗の寺院。
本尊は地蔵菩薩坐像。
平安後期の1013年(長和2年)、慈覚大師円仁(794-864)の9代目の弟子・寂源(?-1024)が円仁が伝えた天台声明を伝承するために建立した「魚山 勝林院(ぎょざん しょうりんいん)」の子院の一つです。
この点「魚山声明(ぎょざんしょうみょう)(天台声明)」とは、天台宗の法要儀式に用いられる仏教声楽のこと。
「声明」とは、経典や高僧が著した論釈の文言に、独特の旋律を付けて唱えることを指す言葉で、大原で伝承されてきた「魚山声明」は、平安時代に慈覚大師円仁によって唐から伝えられました。
また「魚山」とは、中国山東省に所在する声明の聖地「魚山」の名にちなんだものです。
そして「勝林院」は良忍(1073?-1132)の開いた来迎院とともに、その天台声明(魚山声明)の中心地となった寺院で、二院を本堂として「魚山大原寺(ぎょざんだいげんじ)」といわれました(勝林院を本堂とする下院、来迎院を本堂とする上院)。
その勝林院の子院の一つであった実光院は、その後、室町時代の応永年間(1394-1428)に宗信法印によって復興されることとなります。
当時の実光院の境内は現在地の向かい側にある大原陵(後鳥羽天皇陵・順徳天皇陵)の地にあり、付近には当寺の他に勝林院西隣にある宝泉院(ほうせんいん)や普賢院(ふげんいん)、理覚院(りかくいん)など多くの僧坊があったといいます。
しかし後鳥羽天皇第10皇子であった梶井宮門跡(現在の三千院)の第20世・尊快法親王の御心によって、それまで旧実光院の庭園に後鳥羽・順徳両帝の遺骨が分散し安置されていたものが「大原陵」という本陵として整備されることが決定したため、実光院は旧宮内省の命によって移転することとなり、同じく勝林寺の子院であったものの明治以降は無住となっていた普賢院や理覚院の2院を統合する形で、1919年(大正8年)に旧普賢院の寺地に移転し現在に至っています。
客殿は移転の後、1921年(大正10年)に建てられたもので、声明に使われる楽器などが陳列されているほか、欄間に配置されている「三十六歌仙」画像は江戸中期に狩野派の絵師によって描かれたもので、同様の作品は一乗寺の詩仙堂にも残されています。
そして一番の見どころは、客殿の西側と南側に広がる2つの庭園と、秋から春にかけて咲く不断桜で、茶席からお抹茶を頂きながら庭をゆっくり鑑賞した後、庭の中を歩いて回ることが出来るようになっています。
このうち客殿南側に広がる庭園「契心園(けいしんえん)」は旧普賢院の庭園で江戸後期の作庭。
律川の水を取り入れた心字池を中心とする池泉観賞式で、池を三途の川、対岸の築山を極楽浄土に見立てているほか、滝もあり、築山の松は鶴を、池の島は亀を表現しているといいます。
また客殿の西側に広がる回遊式庭園は旧理覚院の寺地で、荒廃していたものを実光院と統合の後に歴代の住職が作庭整備し今日に至っています。
借景として大原の山並みを取り入れた、開放的な雰囲気の庭で、福寿草、カタクリ、イカリ草といった春の草など、茶花を中心に植えられた四季折々の草花が花を咲かせます。
そして庭の中央にある「不断桜(ふだんざくら)」は、初秋より翌年春にかけて花を咲かせる珍しい品種で、秋には桜と紅葉、冬には雪と桜を同時に楽しむことができます。
実光院の施設案内
境内
-
-
山門
-
-
-
寺号標
-
-
-
参道
-
-
-
庫裏
一部は江戸後期のものを移築
-
-
-
客殿
1921年(大正10年)の建造
地蔵菩薩像および脇持に不動明王像と毘沙門天像を安置
欄間には江戸中期の狩野派による十六詩仙画が掛かるほか、床の間には声明関係の資料や楽器類が展示されている
-
-
-
池泉鑑賞式庭園「契心園」
客殿の南側に位置する旧普賢院以来現存する庭園
江戸後期の作庭で、律川から引いた滝を落とす心字池があり、正面に石造の五重塔を乗せる築山の松は鶴を、池の島は亀を表しているという
-
-
-
池泉回遊式庭園
客殿の西側に位置する旧理覚院の寺池
旧理覚院の荒廃していた庭を当時の住職が整備したもので、金毘羅山や小塩山を借景とするために庭木を低くし、四季折々の花が楽しめる
-
-
-
茶室「理覚庵」
池泉回遊式庭園の西北に位置
1975年(昭和50年)に建築資材のほとんどを寺領の山林より切り出して調達し建造されたという
通常は武士のために刀掛けを設ける部分に農作業に使う鎌が掛けられているのが山里の大原らしい
-
-
-
不断桜
池泉回遊式の庭園の中央
樹齢約100年といわれ、10月初旬に開花し11月中頃に満開を迎え、4月初めに再び満開となるという
-
関連
周辺
-
-
未明橋(茅穂橋)
手前の律川に架かる橋
-
-
-
大原バス停
-
実光院の主な年間行事・カレンダー
花ごよみ
木蓮(モクレン)●
白木蓮
桃(モモ)●
源平枝垂桃
桜(サクラ)
不断桜のほかに八重桜と彼岸桜
石楠花(シャクナゲ)
旧理覚院庭園および南側の契心園
躑躅(ツツジ)●
杜若(カキツバタ)
池泉廻遊式の庭園「契心園」の心字池
秋明菊(シュウメイギク)
外庭
紫式部(ムラサキシキブ)
外庭の池畔にコムラサキ
杜鵑草(ホトトギス)
外庭
紅葉(こうよう)
千両(センリョウ)
赤と黄の千両